
猫の腎臓病の研究「AIM研究」とは
猫の腎臓病は、いまだに未知の部分が多い病気です。
そのため、現在も猫の腎臓病に関する研究が続けられています。
中でも今後の進展が注目される「AIM研究」について、ご紹介します。
AIM(Apoptosis Inhibitor of Macrophage)研究

「AIM(Apoptosis Inhibitor of Macrophage)」とは、血液中に存在しているタンパク質で、マクロファージなどのお掃除担当細胞に体内のゴミの場所を知らせる役割を果たす物質です。
形は、アミノ酸が3つ連なったお団子のような形をしています。
体内で細胞が死んでゴミとなると、AIMはこのゴミ細胞に取り付き、細胞のお掃除を担当する細胞であるマクロファージなどに「ゴミがここにあるよ」と知らせます。
その後、マクロファージなどのお掃除担当細胞がゴミ細胞を掃除して、きれいにしてくれます。
人間のAIMは体内でこのような働きをしており、特に肥満や肝がん、腎臓病にも関与しています。
血液の濾過装置である腎臓内でAIMが働くと、マクロファージがまるでフィルターの目詰まりを綺麗に取り去るように働き、腎機能が改善するのです。
しかし、猫のAIMはこのような働きをしていないということが、近年の研究で明らかになりました。
イエネコに限らず、ライオンやトラ、チーターなどのネコ科の動物は皆同じようにAIMが働いていないということが明らかになっています。
何故、ネコ科の動物だけに限られているのかについては、今だに明らかになっていません。
今のところ、「遺伝だから」というより他は無いようです。
この人間と猫のAIMの働きの違いについて、わかりやすく解説している画像がありましたので、引用します。

日刊工業新聞「たんぱく質を標的とした腎臓病治療薬をネコで実用化、ヒトへ応用」より引用
現在は、このAIMを猫と人間の健康に役立てるための研究が、日夜進められています。
猫の腎臓病の治療を目的として、AIMを猫に投与する治験が2020年中に実施されるとのことです。
これからの猫の腎臓病研究に期待が高まります。
参考リンク
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この記事を書いた人

トム
「猫の腎臓病を知ろう」編集部・編集部員
ひなこの友人で猫好き。30代サラリーマン。
現在は一人暮らしだが実家で2匹の猫と暮らした過去あり。獣医師の友達がいる。